不動産投資を始める理由は?
将来への不安から投資による資産形成を始める方が増えてくる昨今、なぜ敢えて不動産投資を選んで始めたのか?
本記事ではアンケート結果を踏まえ、多くの方が不動産投資を始めたきかっけ・動機についてお伝えします。
私が不動産投資を始める理由【アンケート付き】
「知り合いが不動産投資を始めた影響で」「将来(老後)が心配で資産形成の一環として」など不動産投資を始める方の理由は人それぞれですが、アンケートから一番支持を得たのが「将来への不安(老後や年金への不安)」。
参考出典:renosy(GA technologies),アイケンジャパン,シノケン
他にも、「どうせ投資を行うなら安定した投資をしたい」「子供のため(養育費、なにか子供に残してあげたい)」などが見受けられます。
不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家(けんびや)」を運営する健美家株式会社が同サイトの会員を対象とした「不動産投資に関する意識調査(第7回)」を実施した際に行ったアンケート結果では(「不動産投資を通して描いている将来の夢・目標は何ですか?」)「働けなくなっても困らないようにする」が一番の理由に上がっています。
不動産投資事業を手がける株式会社インヴァランスが行ったインターネット調査によると「不動産投資のどのようなところに関心を持ったのか」という質問への回答が『老後の収入として年金の代わりになる』(42.7%)と、最も多い回答を得ています。
将来への不安・安定収入が主な悩み
- 将来への不安(年金不安、老後不安、人生100年時代への不安)
- 安定収入(新たな収入源を確保・増やして収入を安定させたい)
これからの安心・安定を求めるために「どうやって新たな収益源を確保するか?」は日本人全員共通のテーマ。
ドライな伝え方にはなりますが会社はあなたの人生を最後まで助けてくれるわけではありません。だからこそ自分だけの収入源の確保が欠かないのです。
会社の給与だけでは人生設計の見通しが不安なため、将来の不安を解消するための資産形成・生き抜くためのリスクヘッジとして不動産投資を始める気持ちはごく自然なこととも言えます。
Q&Aサイトからも
人気Q&Aサイト「Yahoo!知恵袋」より「不動産投資を行う理由(※)」と検索して出てきた答えとしても様々な意見・不動産投資を行う理由が見受けられました。
(※)総件数401件、その内「不動産投資を行っている」「これから不動産投資を行おうとしている」とわかる発言のみ対象。
不動産投資の安定収入も魅力
戸建の自宅を購入するか、不動産投資で安定収入を得てから自宅を購入するか迷っています。
Yahoo!知恵袋
遊ばせている状態の敷地を不動産投資活用したい
借地権でのビジネスを考えています・・・ 自己所有の敷地はあり、その他売買を頼まれている敷地もあります。
Yahoo!知恵袋
不動産投資が注目される9つの理由
1.2020年のオリンピック開催
2020年に開催される東京オリンピック、会場予定である有明・お台場・夢の島などを中心に湾岸エリアの再開発が進みマンション価格も上昇中。再開発された都市には人が集まるため不動産価格も上がります。
再開発により住む人が増える
↓
不動産の需要が高まる
↓
不動産価格が上がる
いまなら東京オリンピック需要を狙って不動産価格が高騰する前の段階で物件を確保するチャンスがあります。
「東京オリンピック「後」は不動産価値が下がるので一時的な動きではないか?」と心配される方は下記のグラフをご覧ください。
森記念財団都市戦略研究所がまとめている世界の都市総合力ランキングのデータとなりますが、2012年のオリンピックが開催されたロンドン(オレンジ色のグラフ)は、オリンピック後も都市としての魅力・勢いを長期的に高めていることがわかります。そのため、2020年の東京オリンピックでも同様の動きが期待されています。
オリンピック直前までの上昇インパクトには及ばないものの、緩やかにでも不動産価値が上昇していくであろうことは期待できます。
東京オリンピックという一時的な超熱狂状態が冷めれば不動産価格が下落すると予想するアナリストもいます。
ですがそれも一時的な下落であり、特に東京の人口は増加傾向(「東京都の人口(推計)」の概要)という背景もあるため、不動産の需要は極端な下落までは起こることなく不動産価格は回復して更に上昇が見込める、と予測するアナリストもいます。
2.2040年までの東京再開発計画
東京は世界でも3番目(1位ロンドン、2位ニューヨーク)に魅力度が高い都市であり(2017年版の「世界の都市総合力ランキング」より)、2020年以降にも大手町・虎ノ門・八重洲エリア、銀座エリア、日本橋・京橋エリア、渋谷・品川エリアなどで再開発プロジェクトが予定されているため、近隣の土地やマンション価格が上がることが予想されています。
3.国土強靭化計画|政府の強化政策
自民党政権が推進する国土強靱化は、老朽化の進んだ首都高や全国高速道路網、新幹線などを耐震や防災の観点からリニューアルすることを予定した計画。
内閣官房
内閣官房国土強靱化推進室
周辺エリアは計画によって整備され、住みやすい環境が整うことで不動産価値の上昇が期待されます。
4.リニア中央新幹線
9兆円を超える巨額を投じて誕生するリニア中央新幹線は2027年の開業目標とし、東京オリンピック後の日本経済発展に大きく寄与するプロジェクト。
そのため、周辺エリアに労働者のための住居需要が増えるため賃貸不動産市場を活気づかせることが期待されています。
5.将来の老後不安・年金不安
高齢化社会へ突入することで将来の社会保障や老後の年金制度が期待できないと不安視する方が増えています。そのため、「私が不動産投資を始めた理由」でも挙げられた老後の私的年金・資産形成を目的とした不動産投資に注目が集まっています。
高齢化社会|高齢化率が7%を超えた社会
高齢社会|高齢化率が14%を超えた社会
超高齢社会|高齢化率が21%を超えた社会
現在も高齢化は進んでおり、2035年には33.4%になると予測されているため将来は社会保障や年金制度が立ち行かなくなるだろうというのが大方の予想。
ますます自分で自分の身を守る資産づくりが重要になってきます。
6.生命保険替わり
民間金融機関のローンを借りる場合、団体信用生命保険(団信)に加入する必要がありますが、団体信用保険が生命保険替わりになることを狙って不動産投資を始める方もいます。
団体信用生命保険は住宅ローンの借主(本人)がローン返済中に死亡または所定の高度障害状態になり返済ができなくなった場合、生命保険会社が住宅ローンの残高相当額を保険金受取人である銀行に支払い、その保険金が住宅ローンの返済に充当される保険の制度。
また、病気や事故でローン契約者が死亡した場合、残された家族に毎月の安定収入が見込めるマンションを残すことができるため、特に20~40代の若手・中堅層は生命保険の代わりに団信を活用する方が増えています。
参考:団体信用生命保険|一般社団法人 全国信用保証協会連合会
そのため、生命保険に加入していた・加入しようとしていた層が、掛け捨ての生命保険や預貯金の代わりとして不動産投資に流れてくる可能性があります。
7.相続税対策
平成27年以降の税制改正で相続税も改正が行われました。そのため、現金資産を投資用不動産に変えて相続税を下げる節税対策に取り組む方が増えています。
【改正前】
基礎控除5000万円+(1000万円 × 相続人数)
【改正後】
基礎控除3000万円+(600万円 × 相続人数)
出典:相続税|国税庁
税率が上がったために改正前よりも相続税の課税範囲が増えました。そのため、数千万円以上の現金や金融資産を所有している高齢者にとっては相続税は悩ましい問題です。
加えて、数千万円の退職金に加え生命保険金や土地つきマイホームなどの資産があれば相続税の控除額を超えてしまう可能性があります。
8.日本経済はインフレが進むと予測
「3.国土強靭化計画|政府の強化政策」でもお伝えしたように大規模な国策が動く中、 デフレ脱却を目指す今後の日本経済はインフレが進むと予測されます。
インフレになると現金資産の価値が下がる一方、現物資産(不動産や金など)が上昇する(資産インフレ)ため、インフレ対策の一環として不動産による資産形成が注目されています。
9.低金利
低金利のメリットは、「1.家賃収入が増加(実質の収益が増える)」「2、家賃収入の増加により返済が早まる(ローン返済時の金利が減る=通常金利時と比べて実質は物件購入金額が減るのと同義)、「3、返済が早まることにより次に物件取得までのサイクルが早まる(規模拡大)」以上の3点になります。
現在はマイナス金利政策により空前の低金利状態ですが、低金利だからこそ仕掛ける意味があり、いまのタイミングで注目されているわけです。
不動産投資をなぜやらないのか?
不動産投資を始める人や魅力がある一方で、相対的にはまだ不動産投資(他の投資も含め)に取り組まれない人の方が多いと言えます。
これは統計数理研究所が昭和28年(1953年)から5年おきに行っている「日本人の国民性調査」から見える国民性が影響していると考えられます。
各データの引用元:中村 隆・土屋 隆裕・前田 忠彦 2015 「国民性の研究 第13次全国調査-2013年全国調査-」 統計数理研究所 調査研究リポート No.116.
データから見てもわかるように日本人は
- 積極的にチャレンジするよりも大きな変化を好まず安定を好む
- 努力しても報われないと考える背景がある
とういう傾向があり、わざわざ会社以外の時間を作ってまでやるのは「厳しい・大変なのでやりたくない」と感じる方が多いと考えられます。
基本的に胡散臭い
残念なことですが不動産投資に良い印象をもたれている割合は少ないと言えるでしょう。胡散臭さも敬遠される原因の一つ。こちらの記事でも書いたように営業マンへの印象も決して良いとは言えません。
不動産投資が難しいと感じる
専門用語・融資・利回り・シミュレーション・物件の目利きなど、普段の生活ではほぼ縁の無い&直感的に理解しにくい事柄のオンパレード。特にお金周りの管理は学ぶ機会が少ないので苦手意識を感じる方は多いでしょう。
「不動産投資ってどうなの?」が正直な感想
難しく、且つ普段は縁のない業界のため判断しようにも良いのか?悪いのか?がわからないので「どうなの?」と感じる方がほとんど。その上、借金してまで行うなら尚更に心理的なハードルが高く敬遠するのも自然なことと言えます。
不動産投資関連の口コミは基本的に評判が悪い
敢えて挙げるまでもありませんが不動産投資関連の口コミを覗くと、良い事言ってる人は非常に少数。基本的には評判が悪いです。
「不動産投資ってどうなの?体験談の失敗・成功や疑問のテーマ別に考える|「やめとけ」と言われてもやる人」でも詳細をまとめているように、基本的にはやめとけと言われることが多いのが投資、というものです。(日本人の文化みたいなものですね。)
不動産投資をやるべき理由
1.将来安心して暮らすための資産運用
「将来安心して暮らすため」この一言に尽きます。
サラリーマン給料だけで自分と家族を死ぬまで養っていけるのか?と言われて「YES」と断言できる人の方が少ないでしょう。
特に社会保険制度の見直しなどにより老後の年金にも期待ができないのが実情ですから、今後の資産形成として第二、第三の収入確保が現代サラリーマンの課題です。
資産形成=不動産投資が1番、などと言うつもりはありません。
株・FX・ソーシャルレンディング・NISA・ロボアドバイザー・などを行っているのあれば、それらの投資と並行しつつ第二、第三の収入確保の選択肢に不動産投資を組み入れることでより強固なポートフォリオが組めます。
将来へのリスクヘッジは1つでも選択肢が多い方が良いです。
2.サラリーマンに合っている
自己資金が少額でも始めることができる
本業の有るサラリーマンは社会的な信用が高いので自営業者と比べると融資がおりやすい傾向にあります。また、貯蓄もあれば更に評価されます。
不動産投資ローンは『購入する物件(不動産)を担保にして資金調達ができる』ため、自己資金が少額になりがちな一般のサラリーマンの方でも融資を受けつつ始めることができます。
不動産投資では自己資金が少なくとも借入金(融資)を併用することで見た目の利回り以上の収益を得ることができる「レバレッジ効果」により、小ない資金で投資効果を上げ、さらに大きな収益性を高めることができます。
[レバレッジ効果の例] ※1,000万円の自己資金があった場合
【A(レバレッジ無し)】
自己資金1,000万円で年間100万円の家賃収益が見込める1,000万円の物件を購入した場合、利回りは10%。
【B(レバレッジ有り)】
自己資金1,000万円を頭金とし2,000万円借り入れて、年間300万円の家賃収益が見込める3,000万円の物件を購入した場合、見た目の利回りは【A】と同様に10%ですが、収益は3倍になる。
時間的コスパが良い
「不動産投資は面倒もあるが、本業と両立させる対策も行うメリットもある」の記事でも取り上げましたが、不動産の実務管理を管理会社に委託することで本業の邪魔にならず不動産投資運用ができます。そのため、他の副業と比べて時間や手間がかかりません。
株やFXは相場に影響されるので「今」と「1年後」では収益が大きく変動しますが、不動産投資は「今」始めても 「1年後」始めても家賃は大きく変動しない(=家賃収入が大きく変動しない)ため、早く始めた方がトータルのリターンが大きい。
3.不動産投資特有の副次的なメリット
他の副業と比べ、不動産投資には「節税対策」「他人資本を借りて取り組むことができる(融資・入居者の家賃)」「生命保険替わり」という収入アップ以外のメリットも併せて享受できます。
不動産投資で大切なこと
興味を持つ
いくら資産形成が大切とはいえ、全く興味のない事に延々と取り組むのは困難です。他の投資とも比較した上で少しでも不動産投資に興味が持てそうなら選択肢に入れましょう。
事前の勉強
- 特定の周辺環境や街のブランドに依存して物件を選ぶ
- 物件の安さだけ決める
- 事前の収支シミュレーションが甘い
などは初めての方によくある失敗例。
投資判断を誤らないためにも業者の話だけで済ませるのではなく、ご自身でも不動産投資について理解を深めましょう。
パートナー選び
本業を持ちながら不動産管理は物理的にも時間的にも厳しいです。また、公務員であれば人事院規則にも抵触します。そのため、本業がある中で不動産投資を成功せるには不動産投資会社や管理会社などパートナー選びが大切です。
まとめ
不動産投資を始める理由は数あれど、共通しているのは「いまのままでは安心した将来を迎えることができない」という不安です。
収入面において会社や国が最後まで面倒を見てくれない現代では、不安を解消するためにも将来を見越した資産形成は早く始めた方が身を助けることになります。まずは最初の資産づくりからスタートしていきましょう。